はじめに:交通事故後の首の違和感や痛みでお困りの方へ
むち打ち症は、交通事故やスポーツなどで首に急激な衝撃が加わった際に起こる、首周辺の筋肉・靭帯・神経などの損傷による症状の総称です。医学的には「頚椎捻挫」や「外傷性頚部症候群」と呼ばれます。
原因
主な原因は、追突事故などによる首の過伸展・過屈曲です。首がむちのようにしなる動きにより、筋肉や靭帯、関節、神経などが微細に損傷されます。スポーツや転倒、急ブレーキなどの日常動作でも発症することがあり、背中や腰などの他の部位も負傷することがあります。
主な症状
- 首の痛み・こわばり:動かすと痛みが増すことも。
- 肩こり・頭痛:後頭部の重さや鈍痛が続く場合も。
- 手足の痺れ・脱力感:神経根が圧迫されることで起こります。
- めまい・吐き気・耳鳴り:自律神経の乱れによるもの。
- 集中力低下・睡眠障害・気分の落ち込み:慢性化すると精神面にも影響が出ることがあります。
症状の出方
事故直後は痛みを感じないことも多く、数時間〜数日後に症状が現れるケースが多いです。放置すると慢性化し、生活に支障をきたす後遺症を残す可能性があります。
むち打ち症の分類(日本整形外科学会)
| 分類 | 特徴 | 
|---|---|
| 頚椎捻挫型 | 最も多いタイプ。首の痛みが中心です。 | 
| 神経根症状型 | 手足の痺れや放散痛が見られます。 | 
| バレー・リュー型 | 自律神経の乱れによる症状が中心です。 | 
| 脊髄損傷型 | 重症でまれ。脊髄に損傷があるタイプです。 | 
| 脳脊髄液減少症型 | 外傷により脳脊髄液が漏れ、頭痛などが起こります。 | 
バレー・リュー型は、交通事故などで首に衝撃が加わった際に、交感神経節(特に星状神経節)が刺激されることによって、自律神経の働きが乱れ、全身に様々な症状が現れるものです。この型のむち打ち症では、自律神経の不調による自覚症状が中心となります。代表的な症状は以下の通りです。
- 耳の症状:
 めまいや耳鳴り、耳が詰まったような感覚
- 目の症状:かすみ目、眼精疲労、視力の低下
- 心臓・呼吸器の症状:動悸、息苦しさ、脈の乱れ
- 喉の症状:
 喉の違和感、声のかすれ、飲み込みにくさ
- 頭部の症状:頭痛、頭が重い感じ、集中力の低下
- その他:腕の痺れ、全身の倦怠感、不安感など
 
 これらの症状は、事故の直後ではなく、数週間後に現れることが多いとされています。また、画像検査では異常が見つからないことが多く、診断が難しいとされております。診断の際には以下の点が重視されます。
- 見た目では異常が確認しづらいこと
- 星状神経節ブロックにより症状が改善する場合があること
- 骨折や脱臼がないことが画像検査で確認されること
星状神経節ブロックとは、首の前側にある「星状神経節」と呼ばれる神経の集まりに、局所麻酔薬を注射する治療法です。この神経は、自律神経(ご自身の意思とは関係なく身体の働きを調整する神経)の通り道のような役割をしており、そこに麻酔を行うことで、自律神経のバランスを整えたり、血流を改善したりする効果が期待されます。
その結果、肩こり・冷え・慢性的な痛みなどの不調が和らぐことがあります。 特に顔・首・肩・腕の痛みに対して効果があるとされており、帯状疱疹後の神経痛・片頭痛・自律神経の乱れなどの症状にも用いられることがございます。
その為、早期に医療機関を受診する必要があります。
むち打ち症の治療とリハビリについて
— 痛みを整え、日常を取り戻す為に —
初めに記載をした通り、むち打ち症は、交通事故や衝撃によって首などに負担がかかり、筋肉・靭帯・神経などが損傷される状態です。症状は多岐にわたり、痛みだけでなく、自律神経の乱れや精神的な不調を伴うこともあります。その為、治療とリハビリが重要となってきます。
治療は止まっていた時計を再び動かすきっかけ、リハビリはその時計が正しく時を刻むように整えていく時間。 回復は一瞬ではなく、少しずつ日常を取り戻す積み重ねです。
治療とリハビリの違い
| 項目 | 治療 | リハビリ | 
|---|---|---|
| 目的 | 痛みや炎症の緩和、自律神経の調整 | 機能回復、再発防止、心身のバランス調整 | 
| 対象 | 急性期の症状(事故直後〜) | 回復期〜慢性期の筋力・可動域・姿勢など | 
| 方法 | 薬物療法、神経ブロック、安静、理学療法など | 運動療法、徒手療法、生活指導、心理的ケアなど | 
| タイミング | 症状が強い時期に開始 | 症状が落ち着いてきた頃に開始 | 
| 役割 | 身体を休ませ、痛みを抑える | 体を動かしながら回復を促す | 
治療内容
一般的なむち打ち症の場合
- 安静と頚椎カラーの使用
- 薬物療法:消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、精神安定剤など
- 理学療法:温熱療法、電気治療、牽引、マッサージ
- 神経ブロック注射:痛みが強い場合に使用
バレー・リュー型(自律神経症状を伴うタイプ)の場合
- 星状神経節ブロック:交感神経の働きを抑える局所麻酔
- 薬物療法:抗不安薬、αブロッカーなど
- 理学療法:鍼灸、温熱療法、マッサージ
- 心理的ケア:不安や抑うつへの対応
αブロッカー(正式には「α遮断薬」)とは、交感神経の働きを調整する薬の一種であり、身体の緊張を緩めるお薬のことです。
過度な安静は慢性化を招くことがある為、症状に応じてリハビリへの移行が重要です。
リハビリの目的と種類
リハビリの目的
首や肩などの機能を回復させ、再発を防ぐ為に、以下のような目的で行われます。
- 痛みの軽減
- 可動域の回復
- 筋力の強化
- 姿勢の改善
- 心身のバランス調整
 
 リハビリの種類
- 徒手療法:柔道整復師などの専門職によるマッサージやストレッチ
- 運動療法:姿勢改善や筋力強化のためのエクササイズ
- 理学療法
- 温熱療法:ホットパックや遠赤外線などで身体を温め、血流を促進
- 電気療法:低周波や干渉波などで筋肉を刺激し、痛みを軽減
- 牽引療法:首や腰をやさしく引っ張ることで、関節や神経の圧迫を緩和
- 超音波療法:深部の組織に微細な振動を与え、炎症や痛みを抑える
 
- 生活指導:日常動作の改善、ストレス管理、睡眠の質を向上
リハビリの進行とタイミング
| 時期 | 内容と注意点 | 
|---|---|
| 急性期 (事故直後〜数週間) | 安静が基本。炎症を抑えることが優先され、無理な運動は避ける。 | 
| 回復期(1〜3ヶ月) | 症状が軽減したら、軽いストレッチや運動療法を開始。専門家の指導が重要。 | 
| 慢性期(3ヶ月以降) | 筋力強化や姿勢改善を中心に、再発防止を目指す。体調に合わせて無理なく進める。 | 
通院の目安
病院・接骨院への通院頻度
通院の頻度は症状の程度によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
| 症状の程度 | 通院頻度の目安 | 
|---|---|
| 軽度 | 週1〜2回 | 
| 中等度 | 週3〜4回 | 
| 重度 | 毎日通院することも | 
 
 - 治療期間の目安は、平均で3〜6ヶ月程度とされています。
- 少なくとも1ヶ月に1回は医療機関で診察を受けることが大切です。
- 特に事故直後の数週間は、こまめな通院が推奨されます。
- 通院は、後遺障害の認定や慰謝料請求にも関わる為、継続的な通院が重要です。
社会的理解と予後
- バレー・リュー型は外見から症状が分かりにくく、誤解されることもあります。
- 多くは2〜3週間で改善しますが、15〜20%は慢性化する可能性があります。
- 痛みが軽くても、首などに衝撃を受けたら必ず医療機関に相談して下さい。
- 早期の診断と治療が、後遺症を防ぐ鍵になります。
自宅でできるセルフケア
むち打ち症の回復には、治療だけでなく、日々のセルフケアがとても大切です。以下のポイントを意識してみて下さい。
初期(事故直後〜数日)
- 冷却(アイシング):
 炎症を抑えることを目的に氷嚢を使い、1回15〜20分を目安に患部を冷やします。
- 安静にする:
 無理に患部を動かさず、できるだけ静かに過ごしましょう。
回復期(数日〜数週間)
- 温める:
 症状が落ち着いてきたら、温湿布や入浴で血流を促進します。
- 軽いストレッチ:
 首や肩などの可動域を広げる為に、痛みがない範囲でゆっくりと動かします。
- 姿勢の改善:
 スマホやパソコンの使い方を見直し、患部に負担をかけない姿勢を意識しましょう。
注意点
- 負傷部位を強くマッサージすることや、無理なストレッチは逆効果になることがあります。
- 首などの患部を急に動かすことは避けましょう。
- 痛みが強い時は、セルフケアよりも医療機関の受診を優先して下さい。
📞 最後に
 当院では、医療機関と連携しながら、患者様に寄り添った対応を心掛けております。
	当院では、医療機関と連携しながら、患者様に寄り添った対応を心掛けております。 
交通事故後の治療やリハビリについてのご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
交通事故に遭った場合の流れ
- 1st交通事故発生
- 2nd被害者・加害者共に安全確保・車両の確認
- 安全な場所に移動して2次被害を防止して下さい。
 またお互いの運転免許証、車検証、車のナンバー、連絡先などを控えて下さい。
- 3rd警察に連絡
- 後の手続きで警察による事故証明が必要になります。(警察署で発行して頂けます)
 ご自身が急ぐ、また場合によっては相手が嫌がる、軽微な事故だと思われても必ず連絡して下さい。(24時間以内)
- 4thご加入の保険会社に連絡
- 自分が被害者の場合は相手の任意保険会社に必ず連絡させて下さい。
 またご自身の加入している任意保険会社にも連絡を入れて下さい。
 当院で治療を受けたい旨と当院が紹介する整形外科、または掛かり付けの整形外科を受診する旨を担当者にお伝え下さい。(電話番号、住所等)
- 5th医療機関にて診察・当院での治療
- 整形外科等の医療機関を受診後、症状次第で当院で治療が行えます。
 または逆に当院受診後、一度整形外科を受診して頂きます。
その他
 
- 他院に通院中
- 相手が任意保険未加入
- 自分が加害者だけど怪我をしている
- ひき逃げで相手が分からない
- 物損事故扱いにしていたが後から痛みが出た
 
- 当院へ通院することは可能です。
 保険会社の担当者に当院へ通いたい旨を伝え、当院の住所と連絡先をお伝え下さい。
- 交通事故時の治療費は基本的に0円ですが、事故の内容次第では保険証を使って一度窓口で治療費をご負担して頂き、後日保険会社から返金されることもございます。
- ご不明な点は当院へお問い合わせ下さい。
交通事故対応のコンプライアンスについて
- 柔道整復師法を初めとした国で定めた接骨院に関わる法令を守ります。
 国で定めた柔道整復師法を初めとした法令を厳守しながら患者様の応対に努めます。
- 医療機関との連携を図り、医師の診断書や指示に基づき患者様の治療を行います。
 患者様には1ヶ月に1回を目安に医療機関を受診して頂き、患部を診察して頂きます。
 また、医師の診断書や指示に基づき患者様の応対を致します。
- 損害保険会社の定めた料金で施術を行い、施術証明書は毎月提出を致します。
 各保険会社で作成をしている料金表に基づき施術を行います。証明書には施術料と患者様の身体状況の詳細も記載をして、毎月各保険会社へ提出を致します。
- 患者様の怪我の早期回復を目指すのと同時に、患者様とここに関わる損害保険会社との信頼関係の構築に努めます。
 患者様の早期回復を目指す為、患者様へのインフォームド・コンセント(説明と同意)を重視します。また、事故担当者の方との報告・連絡・相談を密にすることで患者様に適切な施術をご提供できる様に努め、皆様との信頼関係の構築へ努めます。
- 患者様の守秘義務と個人情報の保護に努めます。
 患者様の個人情報について「個人情報の保護に関する法律」及び厚生労働省が策定した「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いの為のガイドライン」を守りながら、業務上で知り得た患者様の個人情報の保護に努めます。
労災事故に遭った場合の流れ
- 1st仕事中、通勤中に怪我をした。
- 2nd会社にその旨を説明。労災の手続きを行う。
- 3rd会社から接骨院に提出する書類を受け取ります。
- 会社側が記入する項目を記入して頂きご持参下さい。
 ※当用紙は毎月ご提出して頂きます。
- 4thご自身で記入すべき箇所を記入して頂き当院へご提出下さい。
- 5th治療開始。
- 労災の治療費で患者様が支払う金額は0円です。
 
その他
- 労災の書式をご提出して頂くまでは全額自己負担で応対させて頂きます。ご提出後、ご負担された金額をご返金致します。
- 交通事故、労災事故共に基本的に紹介状作成料やコルセット、サポーター販売時の金額は全額自己負担となります。
 ※症状や内容によっては負担額が0円になることもございます。
生活保護で受診する場合の流れ
- 1st市役所の「保険福祉部生活支援課保護係」で担当のケースワーカーに接骨院で治療を受けたいことを説明します。
- 多賀城市内の生活保護の方しか受診出来ません。他の市町村の方は応対出来ません。
- 2ndケースワーカーから「主治医意見書」を渡されますので、これを掛かり付けの医療機関で「自分の症状は接骨院で治療を受けるべき症状、または対象なのか?」を記載してもらいます。
- 3rdその後、担当ケースワーカーから接骨院で記載する「要否意見書」を貰います。
- この書類は接骨院側で「患者さんの訴え、症状などを記載する用紙」のことです。
- 4th市役所で上記「主治医意見書」と「要否意見書」を照らし合わせ、受診が妥当と判断された場合、初めてここから生活保護の対象として受診可能となります。
その他
- 上記内容は当院市内での流れとなりますのでご注意下さい。
- 接骨院の考え方次第ですが、要否意見書を記載する場合、
 必ず診察と治療を行います。この時の費用は全額自己負担です。
 後に還付はされませんので、ご注意下さい。
 これは要否意見書が無く受診された場合も同様です。
- ご不明な点は市役所へご相談下さい。
 ※問合せ先 多賀城市役所 
 〒985-0873 宮城県多賀城市中央2丁目1番1号
 電話 022-368-1141
 多賀城市保健福祉部生活支援課保護係








